報道されない異常な事件A

457 名前:証人 ◆k77zBQp. 投稿日: 02/05/17 23:59
5月8日――。



俺はあのホームページを見たとき、もうAはダメだ。もう普通じゃない。一線を越えてしまったと思った。

俺は躊躇することなく警察に駆け込んだ。



俺は必死になって、Aに部屋に押し入れられそうになったことや、Aが犯行を告白するホームページの存在を訴えた。

だが、あの公園事件を狂言扱いしたときとまったく同じ対応だった。

担当の捜査員はそのホームページを見せてみなさいと言った。

俺は署内のパソコンを借り、そのアドレスを入力した。



「404 Not found」



460 名前:証人 ◆k77zBQp. 投稿日: 02/05/18 00:00
何度入力しても見つからない。おそらくAは、俺に見せた直後に消したかアドレスを変えたのだろう。

捜査員は面倒くさそうに言った。 「被害届も告訴状もなければ動けないんですよ」と。



人が大怪我をしているはずなのに・・・。

しかも性器を切断するような、異様なほど悪質な暴力事件なのに・・・。



警察は何もしてくれない。



俺は帰り道思った。



「どう考えても異常だ。どう考えても普通の犯罪じゃない」



普通じゃなくなった人間の異様なまでの執着心。Aは俺を諦めない。狂人の妄執だ。俺は本当の恐怖を感じた。



464 名前:証人 ◆k77zBQp. 投稿日: 02/05/18 00:00
5月9日――。



俺は働きはじめた。



もちろん公園の事件で店をクビになったから、というのも理由だが、実際はひとりで部屋にいる恐怖に耐えきれなかったからだ。

俺は製本工場で製本ラインに刷本をのせるバイトをはじめた。

朝から晩まで無心で働いてるときだけ気がまぎれ、Aの恐怖を忘れることが出来たからだ。



何も考えない、単純作業に没頭する時間。

俺はそんな時間を静かに過ごしていた。



だが、バイトから部屋に帰ると何か変な感じがした。

ほんの一瞬だけ違和感を感じた。



471 名前:証人 ◆k77zBQp. 投稿日: 02/05/18 00:01
5月10日――。



今日もまた、バイトから部屋に帰ると何かが変だった。

特に部屋の配置か何かが変わったわけでもない。変な臭いがするわけでもない。部屋の様子はまったく変わっていない。

だが、何かが確実に変だった。俺は直感的にわかった。



「Aだ!」



間違いない。Aだ!Aが何かやった!

俺は部屋の中を調べまくった。身体中から冷たい汗が噴き出していた。物を盗まれるとかなら怖くない。

だがAは常人に思いもつかない何か恐ろしいことをしたに違いない。



「何か恐ろしいこと」。



472 名前:証人 ◆k77zBQp. 投稿日: 02/05/18 00:01
俺は魔法瓶の中身や冷蔵庫の食べ物、飲み物すべてを捨てた。



警察が何もしてくれないなら自分で自分を守るしかない。



だが、もちろん狂人と殺し合うような恐ろしい真似はできない。

ならば警察が動いてくれるような証拠を押さえるしかない。

Aは間違いなく俺の留守中に俺の部屋に忍び込んで何かやっている・・・。



証拠を掴んでやる。



488 名前:証人 ◆k77zBQp. 投稿日: 02/05/18 00:02
5月11日――。



俺は秋葉原に行ってCCDカメラ一式を購入した。



自分の部屋にそれらを仕掛け、Aが俺のいない間に部屋に忍び込んでいる証拠を押さえてやる。

証拠さえあれば今度こそ警察が動いてくれる・・・。



俺はこの板にこのスレッドを立て、今まで起こった出来事を書き込んだ。

誰でもいいからこの話を聞いてほしかった。そうすることで気がまぎれると思ったのだ。



そして3時間テープを3倍速に設定し、翌朝バイトに向った。



494 名前:証人 ◆k77zBQp. 投稿日: 02/05/18 00:02
5月12日――。



その日俺はバイトを終えると早々に部屋に戻り、CCDカメラの映像を再生してみた。

何も変わったことはなかった・・・。

固定されたカメラは全く動かない部屋の中の情景を延々と映し続けているだけだった・・・。



もしかしたら録画が終わったあとで忍び込んだのかもしれない。

翌日からはタイマーで録画開始時間を少しずつずらすようにした。



501 名前:証人 ◆k77zBQp. 投稿日: 02/05/18 00:03
5月15日――。



開始時間を少しづつずらして録画するようになって3日が過ぎた。

朝から夜まで録画をしたことになる。結局何も映ってはいなかった。



その頃、俺は、もしかしたら俺が寝てる間に忍びこんでいるのでは、とも思うようになっていた。

もちろん、そんなことはいくらなんでもありえないと思っていたが・・・。

ノイローゼ寸前になっていた俺はそれでも自分の気を落ち着かせるため、夜寝ている間もカメラをまわすようになっていた。

そして寝るときには枕もとにバットとスタンガンを置いておくのも習慣になっていた。



もしかしたら俺の気のせいだったのかもしれない。

あのホームページを見たショックでナーバスになり過ぎていたのかもしれない。

Aを恐れるあまり猜疑心が強くなり過ぎていたのかもしれない。



だが気のせいではなかった。



Aは俺の陰茎を切りに来た!


508 名前:証人 ◆k77zBQp. 投稿日: 02/05/18 00:04
5月16日、夜――。



それは突然だった。



寝ていた俺は何か妙な感じを身体に感じた。それでも寝ぼけていたのでしばらくはぼんやりしていた。

だが急に、ぱっと目が覚めた。覚めざるを得なかったのだ。



俺は身体を触られているのを感じた。夢じゃない。寝ぼけているわけでもない。

俺は恐怖とともに一気に目が覚めた。夢じゃない。夢じゃない。これは現実だ。枕もとのライトをつけた。



俺の下半身に覆い被さってる奴が顔をこっちに向けた!



Aだ!



511 名前:証人 ◆k77zBQp. 投稿日: 02/05/18 00:04
俺は絶叫した。Aも絶叫した。Aは絶叫するとともに持っていた物を俺の下腹部にぶつけた。

下腹部がパッと熱くなった。俺はすぐわかった。



「刺された!ナイフで刺された!」



俺はパニックになりながらとっさに枕もとのバットを掴みAを殴りつけた。

だがAはバットを掴み返し、ベッドの上でバットの引っ張り合いになった。

俺は「ぁーぁーぁー」と泣き喚きながら左手でスタンガンを握り、Aの胸に押しつけてスイッチを入れた。

Aはのけぞるように後ろに倒れた。すぐ起きあがると無言で俺を睨みつけた。

俺はあまりのことに恐怖で一杯になりながら必死で睨み返していた。



しばらく微動だもせず無言で睨み合っていた。Aの息遣いだけが聞こえた。

と、突然Aはキイッと唸ると身体を翻し、脱兎のごとく部屋を逃げ出していった。



部屋に残された俺はただただ呆然とベッドの上に座り続けていた・・・。



519 名前:証人 ◆k77zBQp. 投稿日: 02/05/18 00:05
どのくらい時間が経っただろうか、俺は下腹部のギリギリするような激痛に我に返った。

寝巻きとパンツを下ろしたとき、貧血を起こしそうなほどショックを受けた。

亀頭の真ん中から陰茎に縦に4センチメートルほど大きく裂けるような穴があき、血にまみれた海綿体が飛び出ていた。

次々涌き出るような大量の出血と傷口のあまりの大きさ、深さに俺はまたパニックに陥った。

呂律がまわらなくなりながら必死で救急車を呼んだ。タオルとティッシュで傷口を押さえ、泣きながら救急車の到着を待っていた。



果てしなく長い時間待ったような気がしたが、実際は10分足らずで救急車が到着した。

俺は救急隊員に必死で状況を説明し陰茎の傷口を見せた。傷口を見せると同時に俺は気を失っていた・・・。



525 名前:証人 ◆k77zBQp. 投稿日: 02/05/18 00:05
目が覚めたとき、縫合手術は終了していた。


腰全体をギブスのような包帯でグルグル巻きにされていた。俺は包帯から出ている排尿用の透明チューブを放心状態で見つめていた。

担当医は機能障害が残るかどうかは経過を見てみなければわからない、と事務的に告げた。

俺は、傷はかなりの重傷で一週間は絶対安静だ、という担当医の言葉をぼんやりと、ただぼんやりと聞いていた。



が、瞬間パッとあることを思い出して興奮した。



ビデオだ。



今日も寝る前にCCDカメラの録画をセットしていた。

Aの凶行は間違いなくビデオに映っているはずだ。今度こそ警察も動くはずだ。

だがふと思った。Aはあのまま逃げていったのだろうか?もしかしたら部屋に引き返しているかもしれない。

部屋に戻れば天井の隅にセットしたCCDカメラに気づくかもしれない。

俺はいても立ってもいられなくなった。Aより先に証拠のビデオを手に入れなければ!



529 名前:証人 ◆k77zBQp. 投稿日: 02/05/18 00:05
俺はすぐ部屋に戻ろうと、ベッドから立ちあがろうとした。

が、下半身が動かなかった。動かないというより感覚がなかった。

麻酔だ。下半身全体に麻酔が効いていてまったく感覚がない。



俺は焦り、部屋を見回した。部屋には俺ともう1人の男性患者。怪我をして救急病院に運ばれてきた酔っ払いのようだ。

俺はその男のベッドの下のカゴにスーツの上着らしきものがあるのを見つけた。

俺はベッドから転がるように落ち、手だけで床を這ってそのカゴまで辿りつき上着をまさぐった。



あった。携帯だ。俺はファーストフード店時代の部下Cに電話し、俺の部屋に行ってくれと頼んだ。

俺の部屋のCCDカメラと接続してあるデッキの位置を説明し、とにかくビデオテープを回収してくれ、と頼んだ。

とにかく急いでくれ。そして気がおかしくなったAが潜んでいるかもしれないと。気をつけろ、と。



部下Cは奇妙な電話に訝しがりながらも、俺の尋常じゃない雰囲気を感じ取り、突然の依頼を引き受けてくれた。



俺は電話を切ると急に動いたせいか、貧血のように目がまわりそのまま気を失っていた。



535 名前:証人 ◆k77zBQp. 投稿日: 02/05/18 00:06
5月17日。今日の朝――。



目が覚めると朝になっていた。



麻酔も切れ身体が動くようになった俺は、受付の公衆電話からCの携帯に電話をした。

Cは電話に出た。俺はほっと胸を撫で下ろした。

CはAと出くわすこともなく無事だった。証拠のビデオテープも回収してくれていた。

俺は、今俺がいる救急病院の場所を伝え、すぐそのテープを持って来てくれ、と伝えた。

Cは昨日からの俺のでたらめな依頼を引き受けてくれた。



俺は公園事件のときもホームページの件のときも、警察が動いてくれなかったことを思い出していた。



だが、今度は違う。今度は証拠のテープがある。

Aの犯行がはっきりと映っているビデオテープがある。



早くテープを持って来てくれ。今度こそ警察は動いてくれる。



俺は証拠のテープが届き次第、警察を呼ぼうと思っていた。



541 名前:証人 ◆k77zBQp. 投稿日: 02/05/18 00:07
現在5月18日00:07――。



おかしい。絶対におかしい。



最後にCと電話で話してから12時間以上経っている。

あれから何度電話してもCは電話に出ない。



おかしい。何かあったのか?



俺が運び込まれたのは救急施設のある大きな総合病院だ。

今、俺はジリジリした焦燥感に耐えられずに、こうやって長期入院患者の談話室にあるパソコンに向って気をまぎらわせている。



ここに事件の経過を書き込むことで気をまぎらわせている。



早くテープを持って来てくれ。救急病棟の受付は24時間、開いている。



早く受付に来てくれ。

報道されない異常な事件Bへ続く
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